東アジア国際政治学研究教育プログラム
招聘研究者

楊志恒 / Yang Chihheng

経歴
1981 年国立台湾大学 法学部 政治学系大学部
学士学位 取得
1986 年国立台湾大学 法学部政治学研究所 碩士班 政治哲学専攻
碩士学学位 取得
1990 年国立台湾大学 法学部政治学研究科 博士班 政治学専攻
博士学位 取得
1996 年台湾空中大学 副教授
1997 年台湾国家政策研究中心副研究員、研究員、研究室課長
1999 年日本国 慶応義塾大学 法学部 客座研究員
2002 年台湾総合研究院 戦略関係研究 研究員
2005 年台湾行政院 大陸委員会 研究員
2006 年台湾淡江大学 東南亜研究所 副教授
2008 年台湾総督府 国家安全会議研究員

研究テーマ
「日中関係の世代交代転換-1990年代から2010年」

一、研究主旨
日本と中国は東アジアにおける二大政治・経済大国であり、
両国の関係発展は地域の安全環境に影響をおよぼすのみならず、
東アジア国家の政治・経済・軍事の発展に深刻な影響をあたえる。

     本研究の主たる目的は、両国政府の外交政策、国内社会環境の転換、
経済の相互作用状況など三つの方面から、
1990年代と2000年代の両10年間における
日本と中国の政治・経済関係の発展の上での変化、
そしてこの変化が東アジア地区の未来の発展にあたえた影響を
比較研究すること
にある。
二、研究説明
1970年代から1990年代にかけての日本は、
アジアそして世界の経済大国であり、
東アジア地域の経済援助に対して多大な貢献をした。

政治上においても日本は民主国家であり、
全世界で最も優良な民主政治と経済発展とを
同時に成し遂げた模範国家であって、
多くの発展途上国が学ぶべき模範であった。

しかし、このような情勢は1990年代中期以降、変化しはじめた。

原因は中国経済の興起であり、中国の国際政治における地位の上昇であって、
日本の東アジア地域に対する影響力は弱まったのである。

2010年の今日、日中の政治・経済における地位はほとんど等しく、
中国はすでに日本を超えたと見なす研究者さえいる。

このような趨勢の加速は東アジア各国にとって、楽観視できないことである。

その主な原因は、中国の地位の上昇が地域の国際秩序の改変を引き起こすことにある。

本研究は、日本と中国の関係が発展する1990年代から2000年代の
2つの10年に検討の重点を置く。


そして両国政府間の外交政策、両国国民と社会の反応、
経済の相互関係など三つの方面から両国関係の変化を分析する。

特に「2つの10年(two decades)・2つの世代(two generations)」という視点から、
日中の国民と社会の二国間関係に対する見方と、その政府に対する影響を考察する。

三、研究方法
本研究は、日本政府の文献資料日中の研究者の著作(中国籍在日研究者も含む)
および当該研究に関連する分野の専門家との交流など、三種の方法をもって完成される。

学習院大学東洋文化研究所の協力のもと、この研究計画が完成されることを期待する。
四、研究構想(仮)
1、日中関係の回顧-1990年以前

2、1990年代の日中関係
(1)日本の視野:変動する東アジア地域の中の中国
①日本政府の対中国政策
②日本の民間と社会の中国に対する態度
(2)中国の視野:「経高・政低」の特殊な二国関係
①中国政府の対日本政策
②中国の民間と社会の日本に対する態度
(3)日中関係の実質的往来
①政治(二国間関係)と外国(多国間関係)の相互作用
②経済関係の相互作用

3、2000年代の日中関係
(1)日本の視野:アジア太平洋地域とグローバリゼーションの中の中国
①日本政府の対中国政策
②日本の民間と社会の中国に対する態度
(2)中国の視野:東アジア地域の整合化における日本
①中国政府の対日本政策
②中国の民間と社会の日本に対する態度
(3)日中関係の実質的往来
①政治(二国間関係)と外国(多国間関係)の相互作用
②経済関係の相互作用

4、日中関係の展望-2010年以後
五、研究によって期待される成果
本研究計画では、
日本と中国という二大政治・経済大国間の異なる世代における発展の変化、
東アジア地域内の国家の外交・経済政策に対する衝撃、
および東アジア地域の未来の発展に対する影響を透過し、
未来における当該地域の発展の可能性を分析したい。